片田敏孝先生の防災講演

片田敏孝先生の防災講演会を聞きに行きました。半田災害支援ボランティアコーディネーターの会10周年記念事業として行われたものです。

選挙戦でうったえた防災対策は、
「予算を付けて立派な堤防を作ることも重要だが、コミュニティの力を向上させなければ防災対策にはならない。」
というような内容でした。
私はぼんやりとしたイメージ、そして歯に衣を着せた言い方である「コミュニティ力の向上」という言葉を使いました。具体的にどのようにという対策かはっきりしていませんでした。
今回、片田先生の講演を聞き、ホントにすっきりした思いになりました。先生の実地の中での動き、問題点、そして結果。防災対策といってもホントにしっかりしたものを作り上げるという事はとてつもないパワーが要り、そして徹底的にやってはじめてこれだけの成果をあげる事が出来るのだと改めて思う事が出来ました。(成果と言いましたが、亡くなられた方がみえます。決して簡単に言っているわけではないという事をご理解ください。)

想定にとらわれすぎた防災対策

というのが今回の講演の一つのテーマでした。
例えば明治時代に起こった三陸津波を被害の尺度とし、作られた堤防を過信するあまり避難しなかった地域が、想定外の津波に飲み込まれたという話もありました。
またハザードマップで安全とされていた所での死者が多かった事も例として挙げられました。ハザードマップはあくまでもシナリオであり、安全を保証するものではないという話は印象的でした。

先生は8年ほど前から本当の意味での防災対策を地域に根付かせる為、釜石市を活動の拠点にしたそうです。何度となく押しかけ、講演会を開いたそうです。なかなかの盛況ぶりだったのですが、数回開くうちに傍聴者の顔ぶれが同じであるという事に気付いたそうです。確かにどの場所でどのような内容でも、意識の高い人たちは時間を作り、足を運び参加するものです。

しかし圧倒的多数をしめるサイレントマジョリティーには先生の声は届きません。考え出した答えは子供にしっかりとした防災教育を施す事でした。そしてその子どもたちが10年20年後に成人し、親になり、自分の子供たちに防災を伝える。そこで初めて防災意識が住民の中に浸透するのではないかという壮大な防災対策でした。

限られた時間の中で子どもたちに教えた事は、
○想定にとらわれるな
○最善を尽くせ
○率先避難者たれ
の三原則だそうです。

知識や恐怖感を教えるのではなく、避難するという意識を教える事が重要になるとの事です。
次第に子どもたちに防災についての意識が高まり、その結果親や地域の方も巻き込んで、防災意識の高いコミュニティというものが出来てきたそうです。もちろんまだまだこれからという時に起こった今回の大震災でした。
その中にあってしっかりと避難した子どもたちの紹介がなされていますので、またそちらもご覧ください。

まだまだ書きたいこともあります。素晴らしかった講演ゆえに長文になってしまいました。ウェブ上にも多くの資料がございます。そちらをご覧ください。
今回の内容を常滑市の中においてしっかりと生かしていけるよう、そして真の防災対策の為に頑張ってまいります。ホントに素晴らしい講演をありがとうございました。

■先生のレポート
http://www.ce.gunma-u.ac.jp/bousai/research02.html

■災害社会工学研究室
http://dsel.ce.gunma-u.ac.jp/modules/staff1/index.php?id=2

■津波防災教育の手引き
http://www.ce.gunma-u.ac.jp/kamaishi_tool/index.html

■産経ニュース「釜石の軌跡」

http://sankei.jp.msn.com/life/news/110413/edc11041314070001-n1.htm

■とこなめ防災マップ
http://www.city.tokoname.aichi.jp/ctg/10700060/10700060.html

ABOUTこの記事をかいた人

衆議院議員秘書等を経て2011年に常滑市議会議員に初当選。2015年4月の選挙において愛知県議会議員に初当選。