ブラジル・アルゼンチン訪問団⑥「リオデジャネイロ市観光局」

アルゼンチン・ブエノスアイレスからブラジル・リオデジャネイロへ。

リオデジャネイロ市観光局において国際的なイベントの誘致など観光政策について調査を行いました。リオデジャネイロ市は人口652万人で、1763年~1960年までブラジルの首都であり、政治・経済・文化の中心地。「リオデジャネイロの景観」が2012年に世界文化遺産として登録され、巨大なキリスト像があるコルコバードの丘や全長4kmにわたり白い砂浜が続くコパカバーナビーチなど、世界有数の観光地となっている。その一方で、私たちが宿泊したコパカバーナビーチ沿いのホテルの裏にもすぐ、ファベーラと呼ばれるスラムが広がっており、リオデジャネイロにとって国際的なイベント誘致や観光振興において治安回復は大きな課題となっている。

犯罪発生状況として2017年、リオ市の人口約650万人に対し、年間12万件を超える強盗事件が発生。その数は一年間でリオ市民約52人に1人が被害にあう計算となる。犯罪発生率を「リオ市」と「日本」と比較すると、殺人が32倍、強盗が何と1,298倍、窃盗が2.6倍となるなど、凶悪犯罪の発生率が非常に高い。

リオ市では2014年にサッカーワールドカップ、2016年にはリオオリンピック・パラリンピックが開催されるなど、世界的なビッグイベントが開催されたが、その開催条件として治安の確保があった。今回説明していただいたリオ市長補佐官であり、観光を担当するディエゴ氏によると、街の機能をマネージメントする仕組みを作り、治安・交通・電気・ガス・ごみ処理などを市の管理センターで一括管理できるようになったとのこと。そしてこの仕組みこそがワールドカップやオリパラのレガシーであるという。

管理センターの中には公共と民間あわせて約30の企業・団体が入っており、治安や交通状況、様々なインフラなどを24時間体制でモニター管理している。例えば治安に関しては、保安官と軍警察が市内いたるところで路上監視しており、全員がスマートフォンを持ち、センターとやり取りしている。市内に1,000台以上ある防犯カメラが犯罪を察知した時、すぐに近くにいる保安官・郡警察のスマホに連絡が入り、迅速に対応することができる。交通渋滞等はその情報がバス会社に行くようになっており、混雑していない道を選択することができるようになる。またインフラにおいて例えば停電が起こった場合、その周辺にある学校などにシステムから直接連絡を入れ、停電の影響がある可能性を告げる。前市長が掲げた「もっと安全なリオ」を実現させるためにこのシステムができた。モデル地区では犯罪率が87%減少したというが、市内全域でみると道半ばである。

また国際的ビッグイベント開催の条件として、リオ市内のホテル客室を2倍にしなければならなかった。建設会社や旅行社の投資により、現在では約5万室となった。ただビッグイベントの一過性に対応するだけの投資は難しく、市としても一年を通してリオデジャネイロに観光客が来るような政策を打ち出した。リオのカーニバルだけでなく、その他の季節にも住民と企業が考え、行うプロジェクトに対して、その成果に応じる形で補助金を出した。

リオデジャネイロは観光として大変魅力的な町であると感じた。そして観光の一番の課題が「治安」であるという部分に対して、愛知県との比較は難しい。ただ、今後の東京オリンピック・パラリンピックでも注目が集まるが、テロなどの犯罪がボーダレスで起こる中、その危機は日本においても十分な警戒が必要であること。2026年にアジア大会が開かれるが、犯罪・交通・インフラのマネージメントについてはしっかり考えていかなければならない課題であると認識する。