令和2年(2020年)、最後の日

令和2年(2020年)最後の日となりました。
本来であれば、オリンピック・パラリンピックの熱い戦いを振り返り、良い一年だったと感じながら過ごす年末だったのかと思います。しかし、昨年、中国武漢で新型コロナウイルスが確認されたのを発端に、世界中がコロナウイルスに苦しめられた、誰もが想像しえない2020年となってしまいました。

日本においても1月にコロナウイルスが確認され、4月に緊急事態宣言が出され、国民に外出の自粛要請が出されるなど、全く経験したことのない事態に、戸惑うばかりでした。

常滑市においても、卒園式、卒業式、入学式への保護者の参列不可、小中学校の臨時休業、公共施設の閉鎖など、市民の皆さまには多大なるご不便をおかけしましたが、コロナ感染拡大防止への取り組みにご理解ご協力いただきました。

その後は生活支援として、「特別定額給付金(10万円)」、「市税等の徴収猶予や減免」、「ひとり親家庭等への特別給付金」、「臨時特別出産祝金」、「妊婦へのマスク配布」などの支援を行いました。また感染拡大防止と経済活動を両立させるため、「飲食店への休業協力金」、「買っとこ!とこめし応援クーポン」の販売、「常滑焼まつり応援クーポン」「セントレア応援クーポン」の配布、「宿泊事業者緊急支援」など、国の地方創生臨時交付金も活用しながら、様々な取組を行ってきました。

特に「常滑焼まつり応援クーポン」は焼物業界の皆さまのご努力により、配布したクーポンの63.3%が使用され、売り上げは前年の2倍以上と大成功の常滑焼まつりとなりました。若い市民の方から「初めて常滑焼を買いました。クーポン以上に使っちゃいました。」と言われたことが一番うれしかったです。常滑焼の振興にはまず市民の皆さまに愛される地場産業になる必要があります。若い世代や、よその地域から常滑に引っ越してきた人たちにも常滑焼を手に取り、日常的に使ってもらう。それが実行できた事業だったのではないでしょうか。「セントレア応援クーポン」はまだまだ利用期間があります。市民の皆さまにおかれましては、どうぞクーポンを利用して、セントレアを応援してあげてください。

また「子どもスマイル応援事業」として、「給食のグレードアップ」や夏の暑い時期の「麦茶配布」など、自治体としては珍しい取組も行いました。「私たち大人も大変ですが、大きく環境が変わった子供たちも頑張ってるんですよ」市民の方からのその一言がきっかけで、子供たちがどんな状況にあり、何をしてあげるといいのか考えた末の事業です。

実際に子供たちと一緒に給食を食べましたが、前を向き、話をしないで食べる給食はやはり少し寂しく、せめても給食を豪華にという企画は、多くの子供たちの笑顔を見ることができ、良かったかなと思っています。2度もフランス料理を監修していただいたル・クーリュズの渡邊さんをはじめ、ご協力いただいた市内事業者の皆さまにも感謝申し上げます。

また、コロナ禍において多くの皆さまの温かいお気持ちに触れることが出来ました、個人、企業、匿名の皆さまより、マスク、フェイスシールド、消毒用アルコール、次亜塩素酸水など様々なご寄付をいただきました。役所や学校、市民病院だけでなく、市内の病院や福祉施設などでも活用させていただきました。皆さまのご厚情に心より感謝を申し上げます。

中部国際空港にとっても試練の一年となってしまいました。人がいないターミナル、シャッターの下りている国際線保安検査場は衝撃の光景でした。現在、国内線は徐々に複便しているものの、国際線については依然大変厳しい状況です。

また常滑市を拠点に運航していたエアアジアジャパンも破綻してしまいました。これまで地元のエアラインとして、市内でも様々な社会貢献活動を行なっていただいたり、イベントにも積極的に参加するなど、常滑市にとって大きな存在であっただけに、残念でなりません。

これら航空業界を取り巻く環境は大変厳しく、これまで増加傾向にあった市の人口も、4月あたりから次第に減少に転じています。航空関係人材はすぐに確保できるものでもなく、実際にコロナ前には航空人材不足が中部国際空港の課題の一つでもありました。コロナが終息し、また中部国際空港に多くの来訪者が来るときの為にも人材確保策が必要です。常滑市としても一時的に市で雇用することを決め、12月議会で認めていただきました。航空需要の回復までまだ数年かかると考えられています。それまで国や県、空港会社や航空関連会社等と連携して、様々な対応にあたってまいります。

嬉しい話題もありました。常滑市を舞台にした長編アニメーション「泣きたい私は猫をかぶる」がリリースされました。コロナ前までは全国の映画館で上映される予定でしたが、急遽Netflixでの配信となりました。世界同時リリースです。

小学生から手紙をもらいました。コロナで大変だけど、友達と一緒に泣き猫を見て良い思い出を作りたいと。多くの関係者にご尽力いただき、コロナ第2波前ギリギリでしたが、文化会館において小中学生を対象に上映会を行うことが出来ました。大きなスクリーンと迫力ある音響で見た泣き猫は一層素晴らしいものでした。

このような素晴らしい作品を作ってくれた、柴山智隆・佐藤順一両監督はじめ、関係者の皆さまに感謝申し上げます。辛いコロナ禍での明るい話題は、市民の皆さまにとって何よりの励みになったと思います。

市民の皆さま、2020年はとても大変な一年であったと思います。そしてまだまだコロナは収まりそうにもありません。どうか基本的な感染予防の取り組みを行い、まずは健康を第一に考えてください。我々も皆さまの命と暮らしを守るため、最大限の努力をしてまいります。コロナに打ち勝つには、皆で一丸となることが大切です。どうか共に頑張ってまいりましょう。

職員の皆さん、コロナ禍で普段の仕事に加え、慣れない業務も多かったと思いますが、一年間お疲れさまでした。特に市民病院の医療スタッフ、事務スタッフの皆さんには最前線でコロナと戦い、年末年始もなお働いてくれていることに感謝と敬意を申し上げます。どうか今後も市民の皆さんの命を守るため、力を貸してください。命を守る「安全」、暮らしの「安心」、まちの「成長」を進め、市民の皆さまに「ずっと住みたいまち」「ずっと常滑。」と思ってもらえるよう、来年も職員一丸となり取組んでまいりましょう。

皆さま、良い年をお迎えください。一年間ありがとうございました。

令和2年12月31日

常滑市長 伊藤辰矢

ABOUTこの記事をかいた人

衆議院議員秘書等を経て2011年に常滑市議会議員に初当選。2015年4月の選挙において愛知県議会議員に初当選。